学芸員の独り言

アクセスカウンタ

zoom RSS メスカルについて

<<   作成日時 : 2015/02/22 11:09   >>

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 9 / トラックバック 0 / コメント 0

メキシコ通の人ならメスカル(Mezcal)がオアハカで生産されているテキーラ類似の蒸留酒であることはご承知だろう。私もその1人で、1974年、メキシコに行った時にはオアハカ土産で小さなマスコット壺詰めのメスカルを持ち帰った程だ。オアハカ周辺ではバスから見ても多分フェロックス系と思われるリュウゼツランが整然と植えられていたから、多分これがその原料なのだなと納得していた。ところが近着のアメリカサボテン多肉会誌にメスカルの醸造原料やその発酵、蒸留方法などが特集されていて、目から鱗というか新情報が満載で認識を新たにしたので、それを皆さんにもお知らせする。
皆さんご存知のようにハリスコ州テキーラの町とその地域で生産されるリュウゼツランを原料とする蒸留酒がテキーラで、原料となるリュウゼツランは青白い細葉のアガベ・テキラナ(Agave tequilana)である。既に国際的に販売されており、クエルボとサウサが日本のサントリーとニッカに相当する大企業だ。ところがメスカルにはそんなメジャーな会社はないらしく、オアハカ以外で手に入れるのは難しいみたいだ。それに昔ながらの製法で家内生産している業者も多いらしく、昔からの味が引き継がれているらしい。そして驚かされたのはその原料植物で、テキラナに似たアガベ・アングスティフォリア(A.angustifolia)は納得できる。しかしその他にその地域に野生する、アガベ・アメリカナ変種オアハケンシス(A.americana var.oaxacensis)、ユッカに似た見かけのアガベ・カルビンスキー(A.karwinskii)、アメリカーナに似た青白厚葉のアガベ・マルモラータ(A.marmorata)、そして日本で雷神などという和名で珍重される奇麗なロゼットのアガベ・ポタトラム(A.potatorum)までが使われているのである。これらに花序が手始める時に花序の芯を止め、株元のロゼット部分に糖分の多いエネルギーを貯めさせておいて収穫するのである。収穫は葉と根を付け根で切り捨てパイナップル様の丸い部分を使うのであるが、これを現地ではピーニャ(パイナップル)と呼ぶ。これを炭焼きのようにカマの中に並べ3〜5日間蒸し焼きにするのである。材木はカシ(Quercus spp.)かマメ科のメスキーテ(Prosopis juliflora:エンジュに似た木で果実は食用になる)を用いるが、これがメスカル特有の燻製臭となる。NHKの朝ドラのマッサンで、マッサンがスコッチのピート臭にこだわる場面があったが、テキーラにはこのこげ臭い臭いがないのだ。この黒く蒸し焼きにされたピーニャを裁断し、ロバに引かせる石臼で粉砕し、発酵槽に水と一緒に入れて大体1週間発酵させる。この時発酵槽に蓋はせず、浮いた粉砕物が蓋代わりになって空中に漂う酵母を取り込むのだと言う。発酵した原液を最低2回蒸留してメスカルになるのだと言う。
 以上、要点だけを書いたが、要はメスカルとテキーラは全くの別物で、我々が持つ産地の違いだけのイメージとは違うのである。私は日本に持ち帰ったメスカルを何かの祝いか何かで開けてみたが、薬臭いような変な味がして、とてもテキーラみたいには飲めなかった記憶がある。多分蓋を封入するロウかなんかの臭いがついたんだろうと思ってガッカリした思いがある。次の機会は平尾さんか誰かとオアハカに泊まった時、店でちょっとメスカルを試飲した事があったが、この時も余りにもテキーラのイメージと違ったので土産にも買わなかったと思う。要は臭いし不味いのである。私はどんな蒸留酒を飲んでも不味いと感じたことはないが、このメスカルだけは美味しい思い出がない。
メスカルの有するウイスキーでいうピート臭に起因する臭いと味が私には合わないのである。ただ、その時点ではメスカルの作り方など知らないから、たまたまその店の酒が不味いのだろうと思って納得していた。そして、この記事を知り、メスカルを初めて味わってから40年も経って、ようやくその味の真相を知ったのである。つくづく自分の不勉強、無知を認識した次第である。画像は1974年にメキシコから持ち帰ったメスカルの壺。酒とは関係ないが、これも気に入って持ち帰ったメキシコの壺。テオティワカンの遺跡で売られていた土産物をいただいたもの。3番目はご存知テキーラ・サウサ、リボンが付いているのは妻から私への誕生日プレゼントだから。次からが1988年に撮影したフィールド写真で、最初の山の風景に丸いロゼットのリュウゼツラン雷神が写っている。オアハカの手前テウアカン郊外での写真で、刺物の弁慶(Echinocactus grandis:platyacanthus)も沢山写っている。次はついでだからこのブログで初めて紹介する私自身の画像。フェロカクタス・ハエマタカンサス(Ferocactus haematacanthus)と一緒に写っている。最後は酒竜舌の和名があるアガベ・アトロビレンス(Agave atrovirens)の画像だ。一緒に写っているのは友の会の客員会員、寺田 博さんの奥さん。このアガベがいかに大きいかを示すために奥さんを入れたのだが、ブログで人物紹介は初めてで申し訳ないので私の画像も入れたということだ。アトロビレンスはメキシコで水代わりに飲まれるアルコール飲料プルケを作るリュウゼツラン。花芽が上がって来たら芯をくり抜き、そこに溜まる甘い樹液を1晩発酵させたのがプルケで、ビール程度のアルコール含量だ。朝夕2升ずつ半年間収穫できるというから大したものだ。ちなみに寺田さんは一昨年脳幹梗塞で倒れ闘病中。昨年元旦のブログに書いたが、私にとっては吉田松陰みたいな存在だけに、もう1度心置きなく語りあいたい希望はある。
画像
画像
画像
画像
画像
画像

月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ
気持玉数 : 9
なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー)
面白い 面白い
驚いた

トラックバック(0件)

タイトル (本文) ブログ名/日時

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(0件)

内 容 ニックネーム/日時

コメントする help

ニックネーム
本 文
メスカルについて 学芸員の独り言/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる