神竜玉の事

最近、シャボマニアックさんがブログで刺物の貴品神竜玉(Echinocactus parryi)を採り上げてくれた。http://shabomaniac.blog13.fc2.com/blog-entry-290.htmlその文中に私の名前が出ていたので、嬉しくなって今日はその話題だ。私がこの植物の調査でメキシコを訪れたのは1977年10月の事。今から42年前になる。現職場に就職を決めてから70日間のメキシコ旅行に出かけ、著名なプラントハンター、アルフレッド・ラウー氏のアドバイスを得て刺物行脚を行ったのである。考えて見れば随分贅沢な話で、70日間、リュックサックを背負い、カメラをぶら下げて、ただ刺物だけを追いかけて過ごしたのである。27歳の時である。前職場であったサボテンをメインに扱う自然公園作りを卒業し、熱帯植物がメインのワニ園に就職して、サボテンと決別する事を前提に、思いを残さないように出かけたのである。その旅行記を平尾さんの主催していたシャボテン誌に投稿し、その98号の表紙が神竜玉だったのである。平尾氏は編集には天才的な能力をお持ちで、私の拙い現地からの手紙を添削清書してこの記事に仕立てて下さったのである。その後シャボテン誌は99号、私の旅行記が終わった所で休刊、実質的には廃刊になってしまい、まことに残念だった。今日編集に携わる人間として、氏が編集してきたシャボテン誌の誤字、誤植、編集ミスの無さは驚異的で、ついいい加減で妥協してしまう自分の編集スタイルを反省するよすがとしている。コンピュータで安易に編集できることがミスの温床となるわけで、緻密な校正を繰り返した先人にはかなわないということだ。神竜玉-1.jpg70日の刺物旅行後はワニ園の仕事に全力を注ぎ、再びサボテンに力を入れ始めたのは、自宅を持ち10坪の温室を実現出来た20年後である。当然、こだわりは刺物にあるから、殆ど実生からスタートして温室を充実させて来た。そしてまた20年余が経ち、その実生した刺物達が花を見せるようになって、私の温室を賑やかしてくれるようになったのが今日の状況である。こと神竜玉に関しては、2002年に出版した拙著「熱帯植物天国と地獄」を長野の刺物名人、柿﨑氏に寄贈したところ、出版祝いに開花株をプレゼントして下さったのが始まりである。氏とは平尾氏を通じて採種目的でフェロカクタス・リンゼイ(Ferocactus lindsayi)の花粉のやりとりがあったのである。氏にはその後、苗や種をあれこれプレゼントしていただき、画像の神竜玉はその実生起源である。日本サボテン界のドン、村主氏は私と同年代で、私がシャボテン誌にあれこれ寄稿していた頃は、修行中の身で、ずいぶん悔しい思いをしていたらしい。後年、自由にメキシコのフィールドを歩けるように成って、神竜玉の自生地に赴き、このシャボテン誌の表紙そっくりの写真をとって記事を投稿している。そのことを村主さんに確認したら、そうなんですよ清水さんの写真をイメージして撮ったんですよ、というコメント。私にとってこんな嬉しいことはない。シャボマニアックさんも同様である。氏は私よりはるかにお若いが、シャボテン誌の記事に影響を受けた世代の代表格で、カリフォルニア半島のセラルボ島に紫禁城(Ferocactus diguetii)を見に行ったという記事を氏の近著「珍奇植物」で拝見し、私の記事は無駄ではなかったと再認識した。そして、この神竜玉の自生地も、国境の町まで行きながら諦めたんだという報告に、ああ、そうだったのか!と納得。マニアックさん残念でしたね。DSCF4242.jpgDSCF4244.jpg

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