スティグマフィロンなど

分園中庭、鳥舎の金網にからまってスティグマフィロン・ビティフォリウム(Stigmaphyllon vitifolium)が咲いている。パラグアイから来た,地下に巨大な塊根を作る強健なツル植物で、花はキントラノオ科特有の黄色い花。本種はツル植物のくせに挿し木が全然効かず、種も採れないので繁殖は難しい。地下の塊根の全容を見たことはないが、ダリアの塊根のような感じで、1つ1つがマクワウリ位の大きさはある。この鳥舎の株も根元は土が山盛りに盛り上がっていて、簡単には枯れそうにない雰囲気だ。一度、地上部を全部刈られてしまい、駄目かと思ったが、根からちゃんと復活してくれた。DSCN3104.jpgDSCN3101.jpg鳥舎前のシュウメイギク(Anemone hupehensis)も今が見頃だ。見た感じ弱々しく、茎などすぐ折れそうだが、案外丈夫で、毎年こうして見事に咲いている。キンポウゲ科で中国原産。DSCN3114.jpgDSCN3115.jpg香料温室の横ではユッカ・フラクシダの斑入り品種ゴールデン・スウォード(Yucca flaccida 'Golden Sword')が実に奇麗に発色して素晴らしい。ただ本種は案外生育が遅く、キミガヨランなどの旺盛さと比べると1/10位の生育スピードかも知れない。同じ多肉では芝生の所に植えてあるダシリリオン・レイオフィルム(Dasylirion leiophyllum)がノボタンの横で群生して偉容を誇っているが、これは1978年の実生だから43年目だ。今花茎を伸ばしているダシリリオン・ロンギッシマム(D.longissimum)も植えて36年、当園の顧問だった玉利幸次郎先生の形見の植物。その後に見える背の高いユッカはトンプソニアナ(Yucca thompsoniana)だが、これも今調べたら1983年の実生で、実生38年だ。これらはキジカクシ科でメキシコ原産。年数も年数だが、皆さんに評価してもらいたいのは、これを私がずっと一人で管理しているということ。種を播き,現在地に定植した時点でこの姿を想定し、管理してきたということだ。植物園というのがいかに時間のかかる仕事かご理解いただけるだろう。昔、農大の中村先生が研究室の面倒を見ていた頃、一流の植物園は1万種以上の植物を保存しているので、ワニ園もそれを目指すのだという理想を掲げコレクションに邁進していた。私も当初はそれを目指していたが、ある頃から量より質ではないかと意識するようになり、コレクション数を気にしなくなった。前記のような植物こそが、植物園の宝ではないかと思うからである。DSCN3100.jpgDSCN3120.jpgDSCN3121.jpg香料温室ではエーライシャン(Telosma cordata)が咲いているが、これも古い。キョウチクトウ科で東南アジア原産。勿論、この温室の植物自体が50年も経っているのだが、長年維持することにその価値がある。その下ではヘディキウムのハナシュクシャ(Hedychium coronarium)が咲いているが、その横で今年、ハナシュクシャと白細弁のシルシフローラム(H.thyrsiflorum)との自然雑種がこぼれ種から育って咲いた。これは1年目ということで、古い器に新しい花を盛った感じだ。ショウガ科でネパール原産。DSCN3109.jpgDSCN3111.jpgDSCN3107.jpgDSCN3105.jpg

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この記事へのコメント

dolloi
2021年09月28日 00:41
「植物園の宝」本当にそう思います。
コロナ前後から、熱帯植物もブームもさらに盛り上がって、世界中から山採り始めさまざまな珍しい植物が輸入され、お店でびっくりするような植物を見ることも珍しくありません。ですが長く育てられた植物を見る事は植物園でしかできません。
そちらに伺って大きく育ったソテツを始め他では見る事の出来ないサイズの植物達を楽しめるのは本当に幸せな事ですが、ご苦労もさぞやと感謝しております。
学芸員
2021年09月28日 12:20
dolloiさん、嬉しいコメント、有り難うございます。
NHKの趣味の園芸などには、やたら山取品の写真を載せるのはまずいよと言っているのですが、困ったことです。アメリカのサボテン会では、山取株を展示会に出品することも、会報に山取品の写真を使わないということも20年も前から徹底されています。