赤いリプサリスのこと

台風の後片付けが終わり、ようやく部屋に戻ってきた。幸い当園は散らかっただけで済んだが、甚大な被害を被った大坂方面の皆様には心からお見舞いを申し上げたい。
さて標題の赤いリプサリス、いま分園入り口に吊って飾ってあるのだが、これは数年前、安城のデンパークを訪れた際に見学させていただいた水耕の三浦園芸で見かけ、後で送っていただいたものだ。当時、温室一面を赤く彩る本種の吊り鉢の群像に同行者一同いたく感激したものだ。その際私は、故アルフレッド・ラウー氏の言葉を思い出した。この赤いリプサリスがヨーロッパで大人気で、それは私が送った物だと、来日した際、1号温室に私が吊ってあった氏の採集品を見て自慢したのだ。当時も今も当園には、このリプサリス、緑色タイプと紫っぽいタイプの2種類があって、その紫のタイプをかつてラウー氏が送ってくれたのだ。今ファイルを見てみたらディソカクタス・ラムローサス(Disocactus ramulosus)の名で入っており、1997年5月、プエブロ・ビエホ、トレド州、ベリーズ南部とあり、要するに当時ラウー氏が住んでいた、ユカタン半島のベリーズで採集したということだ。当時私はそのラウー氏の自慢する意味が分からず、緑も紫も大差ないんじゃないの位に答えた記憶がある。それが三浦園芸でこの群像を見て、初めてラウー氏を言わんとしていた事を理解し、納得したのである。私がいつも困るのは本種の学名で、今確認してみるとプセウドリプサリス・ラムローサ(Pseudorhipsalis ramulosa)というのが正しいらしい。ディソカクタスとリプサリスはシノニムだ。2002年、ハゼルトニア9号に記載されたラルフ・バウエル氏の論文によると、本種には2亜種があり、亜種ラムローサ(ssp.ramulosa)は中南米に広く分布し、茎葉に赤い色素を持つ。亜種ジャマイケンシス(ssp.jamaicensis)はカリブ海の島々に分布し、茎葉に赤い色素を持たないという特徴があるという。ちなみに本種はサボテン科の中で一番分布域の広いリプサリス・バクシフェラ(Rhipsalis baccifera)に匹敵する分布域を持つという。この論文の中でバウエル氏はこのブログによく登場するディソカクタス・アマゾニクス(Disocactus amazonicus)にも触れており、くだんの植物が正しくはプセウドリプサリス・アマゾニカの亜種パナメンシス(Pseudorhipsalis amazonica ssp.panamensis)としている。実は三浦さんにこの赤いリプサリスをおねだりするに当たり、交換条件としてこのパナメンシスをお送りしたのだ。日本一の施設園芸農家、天皇賞に輝いた氏の力で、このパナメンシスが日本全国に普及するなら、本種を送って下さったラウー氏も本望だろう。
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